Nさんという熊本から通院している患者さんから「先生、本物の美味しい焼肉食べさせてくれるところがあるんだけど、今度熊本に来ることがあったら連絡して。連れて行ってあげる。間違いないから!」と言われました。
ちょうど、来年の10月に熊本で大学の同窓会があってそのお店も決めなきゃいけないし・・・なによりNさんとは、お仕事を越えたところでいろんなお話しをするのがいつも楽しみなので、早速、この週末を利用して熊本に行ってきました。
「にくたらし」というお店でした。
凄い名前に驚きましたが、蔵のような店構えで、何とも落ち着いた店内です。
そこは七輪が出てきてテーブルの上で、お肉を焼いて食べるというスタイルなのですが、 まあー、それがそれが・・・・これまで私が想像を超える味でした。
なんというか脂っぽくない。
あっさりしている。
信じられないくらい。
本当に、これが牛肉なの?というくらいカルチャーショックをうけました。
よく、ほっぺが落ちる、という表現が使われますが、そんな表現がぴったりの体験でした。
これがコースの始めに出てきたのですが、もう絶品すぎて文章にどうやって表現してよいのか、まったくわかりません。今まで味わったことがないくらいのおいしさで、頭の中が混乱してしまいます。
まるでお刺身です・・・・
口に入れたら本当に溶ける。
うわー!すごい!本当にすごい!
きっと筋繊維がすべてそろっているところをみると切る方向には間違いなく、こだわりがあるに違いありません。
鼻に抜けるお肉の良い風味がまた素性の良さが理解できます。
そう、思っていたら、隣の席の、若い男女お二人。
「こんなやわらかいと、歯が無い人だって食べれるよね!」という声が耳に入ってきました。
確かに、この柔らかさであれば、舌だけで味わって、そのまま嚥下できるかもしれません。なるほど。
しかし、私はついつい、その辺りが、まだ人間ができておらず、こう思ってしまうのです。
「歯でお肉の筋肉繊維を確かめながら食べた方が絶対においしいに決まっている!」と。
歯の役割は食べ物を噛み、嚥下する大きさまでに食塊を形成するだけのものではなく、歯と歯をささえる顎骨の間には歯根膜と言って、とても大事な感覚受容体があって、それを脳が察知して、噛む力をコントロールするのですよ~、だから歯は食べる時にはより一層食べ物のおいしさを引き立たせるためにとても重要なアンテナのような役割もしているんです!・・・・たとえ自分の歯が無かったとしても、インプラントで咬合を回復することで、食べる時の咀嚼筋運動と咬合によって、唾液の分泌を促したり、口腔全体の頬粘膜や、舌下部、口蓋に至るまで、食塊が形成される過程で、食べる感覚は格段に違ってくるのです。
それは私が奥歯を2本無くしただけで、その体験を十分に味わっています。
たった2本のインプラントを入れて、咬合が回復されたとたん、急に食事が楽しく、そして味に変化が起きたことが今も思い出されます。インプラントを入れて初めて食べた食事の味には感動したのです。
(※健康な天然歯に比較すると、インプラントには歯根膜は存在しないので、歯周病に罹患していない健康な天然歯のほうが、「歯ごたえ」という感覚においてはインプラントより前者の方が優れています)
「実はですね、歯が無いよりあったほうが、絶対いいのですよ」と横からお節介をしたかったのですが、ここで薀蓄たれるとせっかくのいい雰囲気ぶち壊れます。
もしかしたら、このお二人にとってはお誕生日のお祝いか、結婚記念日なのかもしれませんので、そこで隣の席のオジサンから乱入されたら、いい気持ちはしないに違いありません。
しかもNさんからお招きしていただいているのに、Nさんが変な客連れてきた、なんてお店の人に思われたらNさんにも迷惑がかかります。
ここは、ギリギリのところで、思いとどまりました。
そこからは、ひたすらNさんとおいしい肉を食べる事に集中することにしました。
こんなにおいしいと本当に口に肉を入れている間は、話ができません。
そんなわけで、悶絶するほどの美味しい焼肉を食べてまいりました。
なんでも宮崎県の尾崎牛といって、かなりプレミアムなお肉だそうです!
こんなに美味しいお店を紹介してくれたNさんには感謝してます。
本当に、ありがとうございました!