久しぶりに寄稿しました。

先日 ある団体の会報に寄稿を依頼されました。

 

ちょっと前の私であれば、「こんなに忙しいのにかけるわけないじゃん」、とそのままにしていたものです。

 

しかし、50代になったことだし、「もうそんなに忙しくしないでもいいんじゃないのか?」、「編集する方も原稿が集まらないと、大変ではないのか」と、思うようになりましたので、少しお手伝いがてら書いてみました。(ボツになるかもしれませんが)

 

この団体の会報は、医療関係の人しか触れることができませんし、内容は、「あなたがここぞというときにたべるもの」という、まるで学級新聞のようなノリでしたので、これなら忙しい時間でも書けると思い、寄稿した次第です。

 

以下寄稿文です。600文字以内で書くようにと指示がありましたので、とても苦労しました。

 

 

 

夏の暑い日に遠方より客人が訪れた場合、私は迷わず千々石観光センターの流しソーメンに連れていく。

 

「流水ソーメンテーブル」は、私たち長崎県民には見慣れたものであるが、遠方であればあるほど、客人にはそれがなんだかわからない。

 

丸テーブルに固定されている、少し変色したプラスチック板。そこには小傷が無数に入っていて、期待していた客人は落胆を隠せない。

 

着席すると流水プールの中栓をして、テーブルの下に隠れているハンドルを回す。テーブルの底から勢いよく冷たい地下水が噴出される。流水プールが満タンになると、あとは水害にならない程度にハンドルを絶妙に調整する。

 

厨房から長靴と白衣を着たおばちゃんが出てきて、ザルに入った山盛りソーメンをテーブルの中央にドカっと置く。

 

私は即、流水プールにソーメンを適量「ソレッ」と投入する。すると、ソーメンがヒラヒラと生き物のように泳ぎだす。

 

その瞬間、客人から「オオーッ」と声が上がる。明らかに興奮している。

 

プラスチック板の流水プールの中で、ソーメンが果てしなく泳ぎ続けていることが上から確認できる。その様は嬉しそうでもあるが、少しはかない。

 

このシステムだと最後の一本まで決して無駄にならないということ、必ず全員に公平にいきわたるということ、しかも地下水利用のため冷たくてエコということを私は熱く語る。

 

客人は嬉しさを通り越して、感動している。

 

この「業務用流しソーメンテーブル」がどうしても欲しくてネットで探したことがある。お値段90,833円。

 

取付工事費と地下水の掘削、引き込みまでの費用を考えると、流しそうめん一人前400円(税別)は破格値である。

 

きっと、回収までには結構な年月がかかったことは間違いない。